京都四条烏丸、滋賀栗東小柿の鍼灸院。2022年導入の最新式高性能レーザーをどこよりも受けやすい治療費で。不妊症、突発性難聴、円形脱毛症、顔面神経麻痺、各種運動器疾患で本院過去5000人以上の新患、毎年8000人の施術実績。

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自律神経の働き

 自律神経は、交感神経と副交感神経という拮抗的な作用を有する二つの神経で構成されています。例えば、交感神経は「お昼の神経」「戦う神経」とも呼ばれ、活動的な時に優位になります。逆に副交感神経は「夜の神経」「休息の神経」とも呼ばれ、リラックスした状態の時に優位になります。

 とまあ、月並みな話から始まりましたが、実はこのテーマを書くには大きなためらいがあります。自律神経がバランスを崩した時、それがあちこちに変調をきたすのですが、話は自律神経だけで終わらず、大きな範囲に及ぶので、どのように表現すれば良いのか難しいと思うからです。

 これらの神経がバランスを崩すと、体のあちこちに変調が表れます。それは、他のページでもいろいろ書いたとおりです。バランスというのは曖昧な表現ですが、次のいくつかのパターンに集約できると考えています。疾患は当院に来院されたことがあり、自律神経の調整によって改善された疾患を掲載します。

  • 交感神経が殆ど常に優位になっていて、心身ともに過緊張な状態。(例、手掌多汗症、常習便秘など)
  • 交感神経が急に異常に強く作動する場合。(例、パニック障害など)
  • 交感神経と副交感神経支配の切り替えスイッチが、タイミング悪く頻繁に乱れる場合(過敏性腸症候群混合型など)
  • 交感神経に切り替わるべき時に、切り替わらない場合(例、起立性調節障害など)
  • 副交感神経に切り替わるべき時に、切り替わらない場合(例、不眠症など)
  • 交感神経の過緊張を抑制しようとして強力に作動した副交感神経が、無意味な生体の反応を惹起する場合。(下痢型過敏性腸症候群など)

 ひとつひとつ説明すると冗長になるので、それはそれぞれお悩みで来院される方にご説明します。

 さて西洋医学は、ある意味物質医学であると言えます。例えば、自律神経失調が原因であっても、症状の出現の仕方によって薬剤や治療法が全て異なります。それは西洋医学が目に見えないものを標的に出来ないからです。上記の疾患群は、自律神経の「機能障害」であり、その機能は現段階では正確に評価や検査ができないために、例えば手掌多汗症なら、西洋医学は汗を止める塗り薬や神経遮断といった大技まで繰り出してきます。もうひとつ、日本の医学はその多くが薬剤主体で動いています。薬剤の不要な治療法は、エビデンスをとりにくく、どうしても薬剤治療の後塵を拝してしまうのです。しかし、治療を受けられて明らかな効果の見られる方はたくさんあります。

 ところで目に見える、見えないとはどういうことでしょうか。例えば症状に変化が余り無くても、検査数値が改善していたら「もうちょっと頑張ったら良くなりますよ」と言えます。しかし自律神経の評価は検査が難しく、患者さんの自覚に頼る以外評価の方法がほとんどないのです。自律神経測定というのも、多少の傾向を読み取るに過ぎず、それが本当にどれほど客観的な指標となりうるかは疑義のあるところです。しかしもし例えばノルアドレナリンの測定がルーチンな検査でできるなら、症状の変化だけでなく客観的な指標を得られるかもしれません。しかし、私たちには血液検査もできないので、結局のところ患者さんの自覚に上らない変化、観察不可能な変化を、客観的指標として俎上に上げることは出来ないのです。

 しかしながら自律神経のバランスを変化させられる事は様々な研究で証明されていますから、この機能不全を修正するのに鍼灸は良い働きをする可能性が高いのです。

 こういう客観的評価が難しい領域ほど、鍼灸は信じられないというような表現を聞きますが、ならば日本で千五百年の歴史を有し、この間に治療を受けて改善された方は皆がプラセボだったのでしょうか。まさかそんなはずは無いでしょう。今や世界保健機関(WHO)や米国国立衛生研究所(NIH)ですら幾つもの疾患に鍼灸が有効と認めているのですから、今更鍼灸は効果がないと言ってみたところで、それは単なる無知でしかないと断言できます。問題は、術者の経験と技量、鍼灸の限界をしっかりと理解しておくことです。もちろん私たちは経験と技量をレベルアップする事を忘れてはなりません。

 さて、自律神経が誤作動を起こし、体調に異変を起こしてしまうと、今後ストレスがかかった時に、必ずと言っていいほど同じ症状を誘発します。おそらく体がストレスに対する反応として、そこに回路を繋げてしまうように感じます。上に書いた手掌多汗症や不眠症始め、他のページにあるような疾患はそのように思えます。

 ところが来院された方にお聞きすると「そんなストレスはなかったけど」と言われる方がしばしばおられます。そこで発症頃の生活をお聞きすると、客観的に見ればかなりストレスフルなのです。では、どうして発症してしまうのでしょう。

 通常、私たちは過剰なストレスがかかると、そこから回避行動を取ったり、気分転換をしたりします。それは体が悲鳴を上げる前に心がそれを守ろうとしているのです。しかし逆の方々、つまり精神力が強い方は、心の許容量が大きすぎて、肉体に知らない間にひずみが生まれ、とうとう悲鳴(いろんな症状)をあげているように思えます。

 ところで自律神経は、免疫機能にも大きな影響を及ぼします。平成26年秋に大阪大学の鈴木ら(注)が発出した論文では、まさに「病は気から」が分子レベルで証明されたのです。つまり交感神経がリンパ球の体内動態を制御していることを、三つのプロセスで解明したのです。ストレスという神経系へのインプットが如何にして免疫系のアウトプットに変換されるか、極めて興味深い解明です。この論文は、待合室にありますので、どうぞご覧ください。

 「待合室にあります」などと投げやりな言い方をするには理由があります。自律神経系を詳細に論じるのが難しいだけでなく、そこに免疫まで登場すると、話の先が見えなくなるからです。

 まるで湾の中だけで漁をしていたらいいものを、知らずに湾外にでてしまうと猛烈な嵐で船が転覆してしまうようなものです。なので、ご興味のある方は、まずその論文を読んでみて頂けたらと思います。

 また脱毛のページでも述べていますが、星状神経節ブロックが免疫機能を有意に変化させることも判明しています。

注・「病は気から」をご理解頂くためのリンク(大阪大学)
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141125_1

<自律神経よもやま話>

 自律神経は英語で言うとautonomic nerveですが、本来なら「自動」神経とでも訳せばいいでしょうか。でも「自律」の方が良い用語ですね。また交感神経はsympathetic nerveですね。副交感神経はparasympathetic nerveです。当院へはよく外人さんが来られますので、これらの用語はしばしば使います。さてsympatheticとなると語源はsympathyではないかとすぐに思い浮かびます。「sympathy=同情、哀れみ、思いやり、悔み、共感」なので、これらの感情が起こった時に作動する神経だと思うと、結局は情動が起こった時に作動すると考えれば理解できるでしょう。

 さらにどうでもいい話ですが、チャイコフスキーの交響曲第六番は「悲愴」という名前で呼ばれています。これは「Pathetic」と言われます。「Sym(-n)」という接頭辞はsymphonyで代表されるように、「同時に」といった意味をもつので、結局はsympatheticというのは、「他者の悲しい情動を同時に感じる」といった意味になるのでしょうか。更にローリングストーンズの名曲「悪魔を憐れむ歌」は「Sympathy for the Devil」です。言葉からいろいろ考えると交感神経って、あまり良いイメージがもてませんね。やっぱりこの神経って、活躍し過ぎると良くなさそうです。

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