産婦人科疾患症例

採卵時機と成績の関連

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鍼灸を開始して、体外受精の採卵成績が向上するのが、開始からどの程度の時機で具体的に有意差が出るかの検証を始めた。

3月13日の「明日の不妊症看護を考える会」でお話するのが目的だ。
生殖医療専門医の先生が来られるかもしれないとなって、
ここはやはりきちんと鍼灸の説明をせねばならない。

鍼灸に効果がないなら、採卵成績はじわりじわりと下降し、
且つ、毎回の有意差は大きなデータではでないはず。

鍼灸が効果を及ぼしうるなら、
どの程度の期間で効果が出るか、絶対に明らかになるはずだと
検証を開始した。

またもやカルテとの格闘だ。

着床率の算出開始

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データ抽出のための作業開始!
不妊患者さん約五百人分のカルテから、胚移植時の治療方法の違いによる着床率の変化を算出する。
今回、特に重要なのは、免疫寛容が星状神経節へのレーザー照射で起こっているかを検証すること。更に検証しなければならないのは、受精卵の異常をも寛容してしまうと流産率が上昇するはずで、一般的なNまたはFBlastETでGS確認後の流産率の算出は、とても重要な意味を持つ。
今日、明日と一心不乱に分析します!
免疫の学習もまだまだこれからだが、着実に歩を進めるべし!全ては患者さんのために。そして、私の講義を聞きに来てくださる先生方のところに通院される患者さんが、実際のデータに基づく確かな治療効果を得て頂きたい。脈診や経絡治療とやらの主観的治療に終始している方から、そういうデータが全く出てこない。まずは自院の分析から始めないと、患者に言う言葉は全て偽りである。私たち不妊鍼灸ネットワークでは、何人もの会員がこうして日夜努力して、真に効果がある治療法を検証している。これが真剣に患者に向き合うことであり、患者の前だけ良い顔をすることではない。
時折、HPであり得ないような馬鹿げた数字を挙げている院を見かける。高校1年程度の数学が出来たら、それがいかに馬鹿げた数字か、すぐにばれてしまうのに。しかしそれが真実なら、データの出し方、詳細な結果などを公の場で言ってみて欲しい。しかしそういう馬鹿げた数字に患者さんは吸い寄せられて行く。いと嘆かわしや。

もうすぐ小学生

ずっと前に来院されていたTさん。
今日の夜に用事で外に出た時、信号待ちでばったり。
自転車の前と後ろにお子さんを乗せて、、、。

「Tさん?」

「あーっ!先生」

「もうこんな大きくなったん?」

「はい、もう4月から小学生です!」

云々、、、という会話も和やかに、

「先生に会えて良かった!」

と仰って頂いて

「おやすみなさい」

と手を振った。

前の日記で効果を予測すると書いた途端に、
とても想い出深いTさんに出会うとは!

当時のカルテを見ると、、、
Tさんは鍼灸来院前に8回採卵、胚盤胞移植9個。
ところが成績は徐々に悪化しており、来院前の1年間は、
採卵5回で胚移植できたのが、8ヶ月前の1回だけ。
その後は、採卵出来ない、授精しても育たない、
そんな状況で当院にお越しになった。

鍼灸開始からとりあえず3ヶ月は頑張って欲しいとお願いした。
カルテによると、6月開始で9月採卵。
それでなんと!いきなり胚盤胞3個を得た。
今まで成績が徐々に悪化していたので、
医師から移植個数を複数個にするか尋ねられた時、
「いっちゃえ!」(と返事したと、いまだに耳に残る)
と複数個移植し、双子を妊娠、そしてご出産。

これもやはり卵質向上に3ヶ月を必要とした。

当院での卵質向上プログラムは、4、5日毎の間隔で行う。
私の言葉を信じて、みっちり通院された。

その時のカルテには、レーザーは卵巣に、
鍼灸は卵巣と子宮両方への刺激法が記録されている。

現在、他の疾患でレーザーだけと鍼灸併用の効果の比較を行っている。レーザーだけでも効果は認められるものの、鍼灸を併用すると、明らかな効果の増幅を感じられている。

両方共毎回使用しているが、やはりそれが不妊にも必須だと思われる。

そっかぁ〜。

もうすぐ小学生か〜。

時が経つのは早いな〜。

子供の成長は嬉しいが、私としては年の瀬も迫り、

一休さんの

「正月は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」

という句がじわじわと身にしみる齢となる。