運動器疾患症例

大腰筋拘縮

おはよーございます!(寝起きドッキリ風に)

只今、1月3日の朝6時半。
50才を越えて、徹夜してしまいました。
まだまだ若いっ!って自己満足です。

とりあえず胚盤胞着床率の計算をして、、、ふと気付きました。
「仙台研修、あと一週間やん!?スライド作らな!!」
とうことで、引き続き作業です。

相変わらずの突貫工事です。

さて、今日(1/3)一人だけ治療させて頂く事になりました。

この方、なんと46才で双子をご懐妊なのです。ていうか今月47才になられます!採卵35回、移植20回以上を経ての快挙でした。
某高度生殖医療機関と某不妊専門鍼灸院になんと8年間通われていましたが、昨年、当院に転院して来られました。当院では、少数回数しか治療してないので、今回のご懐妊と当院の治療は無関係だと思われますが、何にしても本当によく頑張られたと思います。

と、その後お腹が大きくなって、鼡径部が痛くてまともに立てない、歩けないと杖をついて年末に来院。少しずつ良くなっているのですが、まだ2回しか治療していないのに、4日から入院となったのです。高齢であるのと双胎であるのと、他に多少のトラブルがあり、大事をとって入院となりました。しかし今の状態では入院生活もかなり辛くなるので、その前日に治療をすることになりました。

鼡径部から下腹部が両側引きつれるように痛みます。放散痛として足全体が痛みます。なので、さっと立てない。普通、両側に同時に起こる事はまれで、女性の場合は殆どの方が、まず消化器内科に行かれます。次に産婦人科に行かれます。そして整形外科に行かれます。しかし筋肉のヒキツレなどレントゲンでは写りません。まして妊娠中なら撮影すらないでしょう。

このようなコースを辿ってから、鍼灸に来院される方がしばしばおられます。そこで診察して状態を説明すると納得され、そして内科的な問題ではないので安堵されます。が、この痛みかなりきついのに、そんな簡単には取れないんです。昨年も、当院に来院される前に接骨院で半年治療を受けた60代の女性が、立ってられないと当院に来られたのですが、やはり良くなるのにそれ相当の日にちを要しました。昨年だけで同症が3人おられました。この筋肉は何せ一番深いところにあるので、鍼をするにも技術が必要。年末まで2回治療して、昨日の電話では徐々によくなりつつあるとの事で、ほっと安心。

さて、なぜ両側に同時に起こったかというと、この筋肉は腰から出て、大腿骨の上端内側にひっついているんですね。つまり筋肉が非常に深いところで骨盤内を貫通しているのです。で、46才で筋肉の柔軟性が低下して、また生活歴から運動不足でいるところに、急速に巨大化した子宮がその筋を押さえ込んでいるものと思われます。治療は、腹部のそういう深いところに鍼を出来ないので、起始部の腰と停止部の太ももに鍼をして筋肉の緊張を和らげる事になります。が、何せもう30週のお腹ですからうつ伏せに寝られません。横向きの治療は少しやりにくいですが、なんとかしっかりとした治療を行いたいところです。

さて4日から通常通り始まりますが、それまでに検証とスライド作りしなきゃ!!

皆様、今年もどうぞ宜しくお願い致します。

述懐

昨年来院された40代の近所にお住まいの女性の話。

一度治療して2回目に来院された時、どうもおかしいと思ったので、病院へ行ってMRIを撮ってから再来するようにお伝えした。
が、その後一向にお見えにならないので、一年以上も経過して忘れていた。
その方が不意に、その後の経過だけ報告にお見えになった。

聞くと、その後に接骨院を3軒ほど回って、半年以上かけて治療したのだが徐々に悪化し、最後は一晩中寝ていられないほど疼き出した。そこで私が勧めていた病院へ行って、MRIを撮ってもらったら腱板断裂で、すぐに入院手術となったらしい。

その方曰く、「最初から先生の言われる通りにしておいたら、こんなに苦しまずに済んだのに、その時は治るだろうと勝手に思い込んでいて、自分で回り道をしてしまった。本当にあのアドバイスがあったおかげで病院も迷わずに選んで、そしてその後、早く良くなる事が出来てよかった」と、わざわざ伝えに来て下さったのだ。

普通、こういう事をわざわざ言いに来て下さるのは勇気が要ると思う。

しかし接骨院は私たちより運動器疾患をしっかり診られるはずなのに、3軒共にきちんと精査を勧めず、一体何をやっていたのかと疑ってしまう。

私も肩関節のいろんな病態を沢山診て来ているので、これはおかしいと思ったのだろう。肩の疾患は、リウマチ等の全身性のものでなければ、諸種の徒手検査で大まかに原因が推測できる。とても微妙な状態だったのだろう、そのようにカルテには記載していある。1回しか治療せずに、その後すぐに病院を勧めるなどというのは、実際には滅多に無い事なのだ。

同じように、思い出す方がある。その方は肩こりで来院された。しかし通常の肩こりとはレベルがまったく違う。なにか変な予感がした。

「保険証は今、もっておられますか?」

「はい。」

「では紹介状を書きますので、すぐに内科に行って下さい。」

「はぁ、わかりました。」

という次第で、その足で内科に行ってもらった。

そして内科医からの返答が来た。

「肝がん第3期、即日京大に入院」

といった内容だった。

後日、同じ会社の方が偶然治療にお越しになり、その肩こりの患者さんの話しになった。やはりその後、お亡くなりになったらしい。初診鑑別の重要性を身にしみて感じ、その方のご冥福をお祈りしたのを思い出す。

最近、接骨院でも鍼灸院でも、修行を経ずにすぐに開業している人が多いと聞く。彼らは、どこで指導を受けたのだろう。指導を受けながら、いろんな患者さんを数多く経験しなければ、そういうスキルは身に付かない。ベテランのような年齢でも実は卒業したての脱サラ組という施術者も数多い。HPなどで資格取得年が書いてないのはそういう場合が多い。

勤務して指導を受けながら修行すると、通常ひとりでなら10年かかる事が、2、3年で到達出来る。もちろんその為には厳しい事もあるが、時間短縮なのだから当然であろう。

患者さんが言われる事(主訴)だけ聞いて、考えようようともせず治療するだけでは、まるで稚拙と言わざるを得ない。

治療を受けるのに、良い所を見分けるのは至難だと思われる。

頚椎症の恐怖

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本日、草津分院に頚椎症の新患さんがお越しになった。
2、3年前に一度頚椎椎間板ヘルニアの診断を受けたが、痛み止めで1週間で緩解したらしい。
ところが今回は、2週間前の寝違いから首から左腕への痛みと痺れが取れないと来院。

当然だがすでに整形外科を受診され、まずはロキソニンを服用。しかしそれがまったく効かずに(この時点でヤバいと思ったらしい)、リリカに変更しても痛みや痺れが和らいだものの、症状が消えない。

坐っているだけで、首のちょっとした角度で左腕に痛みと痺れが出る。寝てもすこし角度が合わないだけで痛みが続く。

これってこの病気で苦しんだ人にしかわからない微妙さなんだよね。

というのも、昨年2月に自分も殆ど同じ経過をたどったからだ。
ただ、私の場合はヘルニアではなく頚椎自体が歪んだので、脊髄を圧迫していて、その痛みとしびれは両腕に来ていた。(画像参照)

話しを聞いていてその方の辛さが身にしみてよく分かる。あの頃は地獄の痛みと闘っていた。

結局、処方されるあらゆる薬が効かなかったので、手術を願い出たが、それも却下され約3ヶ月間は途方に暮れ、自分で治すしか無いと決意。

スーパーライザー(以下SL)をいろんな場所に照射して、もっとも有効な部位を見つけると同時に、鍼灸と併せてできる限り継続した。すると、日に日に緩解し8月にはバイオリンを首で挟めるまでに回復した。

それまでは、指先の感覚は麻痺し、両腕に常に激痛が走り、みそ汁を持てば手が震えてこぼれたり、お箸を口まで運べなかったり、うがいなどとてもとても無理。どんな角度で寝ても起きていても、ごくわずかな動作で激痛が走っていたのだが、今やまるで嘘のように快適だ。

そんな話しもしながらまずは初回の治療を。

すると仰臥位の途中から楽になるのを実感して頂き、治療終了後は痛みの無い可動範囲が少し広がったと言って下さった。自分が苦しんだ経験がすごく役に立った。

少し時間がかかるが、頑張って治して行きましょう!!

12/13加筆
本日、3回目の治療。動作時は半減、安静時痛は残り2割にまで軽減との事。ヘルニアは2、3回の治療で引っ込む事はあり得ないが、ヘルニア部分に圧をかける頚部の筋肉のテンスが下がったと思われる。このテンス、痛み止めが効けば、そういった効果を期待出来るが、痛みが引かない限りテンスは高いままで、最悪の堂々巡りに陥る。その循環をどこかで断ち切らなければ手術以外に痛みから逃れる方法は無い。とまれ、良くなって頂き、あとは少しというところ。私も写真の用な状態は変わっていないと思うが、良好な状態が1年以上続いている。生活的にはほぼ完治である。
と、今日、この方を治療しているとき、新患さんからお電話。この方の職場の方のご紹介だった。この方のお話を聞いて、早速お電話下さった。

12/17加筆
本日4回目の治療。安静時痛はほぼ消失。動作時痛は2〜3/10、
ということで、本日で一旦経過観察の終診とした。後は無理さえしなければ、自然緩解するでしょう。厳しい神経根症状が、これほどの速度で改善されたのは、とても喜ばしい事です。