日々の診療の様子をお伝えします
あけましておめでとうございます。元旦朝からひとっ弾きです。
このバイオリン、実はイタリアクレモナのバイオリン製作プロフェッショナル部門の銀賞作家のマイスター製です。音がどうもしっくりこなくて、自分の腕の悪さを棚に上げては仕方ないと思っていましたが、5年間使い続けたロージンを変えてみました。すると音がガラリと変わりました。たった2千円でこの変化は凄い!
細やかな音になった気がします。ますますはまってしまいそうです。
大晦日です。皆様方は年末年始、いかがお過ごしでしょうか。
今年一年いろんな事がありましたが、今こうして振り返ると、
「人生 楽ありゃ 苦もあるさぁ〜」
という激動の一年でした。
(水戸黄門、特番でやってくれないかな〜)
さて、現在当院は6名のスタッフが在籍しておりますが、
彼女達、全員最高です。
今年入ったスタッフ二人は、互いに切磋琢磨し、たゆまず努力しています。また、いろんな仕事を深く捉えようとしています。
もちろん鍼の練習、医学の学習もとても順調に進んでいます。
間もなく、皆様方の治療を担当出来るようになるはずです。
とは言っても、過去に当院でこの域に到達出来たのは、ホンの一握りのスタッフなのです。学習量の多さに恐れおののき、施鍼練習の厳しさにくじけてしまいます。そういう意味でも草津分院長の露木を筆頭に、南と湯浅の両名は食らいついて来ていて見事です。
そういえば11月から毎週木曜日に、当院を卒業した田邊先生が本院の代診に入っています。毎週広島から来てくれています。私が忙しすぎて新入りの指導の時間が作れず、彼女にその役割をお願いしています。また新入り二人からすれば、5年経つとこの域に達するという近未来を体感する事により、着実に階段を登って欲しいと思うからです。新入り二人の2年目(とは言っても鍼灸師歴としては4年目と6年目になる)にどうぞご期待下さい。
さて私の正月はまた、カルテの整理にあけくれます。どうしても確認したい事があります。それは胚移植時に星状神経節へのレーザー照射を行ってからの着床率にどれほど有意差が出るかという事です。お盆に出したデータでは、有意差がでたものの、照射群は未照射群に比し分母が小さすぎたので、しっかりと確認せねばなりません。他にもせねばならない事がひとつ二つ。またもや大量のカルテと格闘です。診療がストップするこの3〜4日間が勝負です。
さらにお盆頃に出したデータを追試してみたところ、その効果が曖昧であるものもありました。それも熟考せねばなりません。
年に何回か講演の仕事がありますが、その度に最新の手法とデータを披露します。なのでリピートしてくれる同業の先生も多く、3回、4回と私の講義を受けに来てくれます。それはとても嬉しいのですが、常に新たな学習や研究結果を盛り込まねばならないので、すごいプレッシャーです。が、逆に言うと惰性に流されず常に勉強と研究を繰り返さねばならない原動力でもあります。
来年は、1月に仙台、3月に京都、春以降に東京へ呼ばれています。
仙台と東京では不妊症のみならず、他の疾患の講義も行います。同業の先生から見ても高いレベルでのオールラウンダーを目指します。
ということで、お正月は「データ整理」「免疫の学習」「バイオリンで気分転換」を3日間延々と繰り返します。
年末最終日の昨日は朝7時15分から予約がすべて詰まりました。6時半にシャッターを上げると外はまだ暗く、「うわっ!」と思いましたが、その時間からでも「来たい!」と思って下さる方がおられるのは、本当に嬉しい事です。年明け4日は朝7時半から詰まりました。来年もスタッフ一同頑張ります。
皆様、どうぞ良いお正月を!!
昨年来院された40代の近所にお住まいの女性の話。
一度治療して2回目に来院された時、どうもおかしいと思ったので、病院へ行ってMRIを撮ってから再来するようにお伝えした。
が、その後一向にお見えにならないので、一年以上も経過して忘れていた。
その方が不意に、その後の経過だけ報告にお見えになった。
聞くと、その後に接骨院を3軒ほど回って、半年以上かけて治療したのだが徐々に悪化し、最後は一晩中寝ていられないほど疼き出した。そこで私が勧めていた病院へ行って、MRIを撮ってもらったら腱板断裂で、すぐに入院手術となったらしい。
その方曰く、「最初から先生の言われる通りにしておいたら、こんなに苦しまずに済んだのに、その時は治るだろうと勝手に思い込んでいて、自分で回り道をしてしまった。本当にあのアドバイスがあったおかげで病院も迷わずに選んで、そしてその後、早く良くなる事が出来てよかった」と、わざわざ伝えに来て下さったのだ。
普通、こういう事をわざわざ言いに来て下さるのは勇気が要ると思う。
しかし接骨院は私たちより運動器疾患をしっかり診られるはずなのに、3軒共にきちんと精査を勧めず、一体何をやっていたのかと疑ってしまう。
私も肩関節のいろんな病態を沢山診て来ているので、これはおかしいと思ったのだろう。肩の疾患は、リウマチ等の全身性のものでなければ、諸種の徒手検査で大まかに原因が推測できる。とても微妙な状態だったのだろう、そのようにカルテには記載していある。1回しか治療せずに、その後すぐに病院を勧めるなどというのは、実際には滅多に無い事なのだ。
同じように、思い出す方がある。その方は肩こりで来院された。しかし通常の肩こりとはレベルがまったく違う。なにか変な予感がした。
「保険証は今、もっておられますか?」
「はい。」
「では紹介状を書きますので、すぐに内科に行って下さい。」
「はぁ、わかりました。」
という次第で、その足で内科に行ってもらった。
そして内科医からの返答が来た。
「肝がん第3期、即日京大に入院」
といった内容だった。
後日、同じ会社の方が偶然治療にお越しになり、その肩こりの患者さんの話しになった。やはりその後、お亡くなりになったらしい。初診鑑別の重要性を身にしみて感じ、その方のご冥福をお祈りしたのを思い出す。
最近、接骨院でも鍼灸院でも、修行を経ずにすぐに開業している人が多いと聞く。彼らは、どこで指導を受けたのだろう。指導を受けながら、いろんな患者さんを数多く経験しなければ、そういうスキルは身に付かない。ベテランのような年齢でも実は卒業したての脱サラ組という施術者も数多い。HPなどで資格取得年が書いてないのはそういう場合が多い。
勤務して指導を受けながら修行すると、通常ひとりでなら10年かかる事が、2、3年で到達出来る。もちろんその為には厳しい事もあるが、時間短縮なのだから当然であろう。
患者さんが言われる事(主訴)だけ聞いて、考えようようともせず治療するだけでは、まるで稚拙と言わざるを得ない。
治療を受けるのに、良い所を見分けるのは至難だと思われる。