日々の診療の様子をお伝えします
先日の事。
夜の8時にキャンセルが出たので、9時の患者さんにご連絡。
もし早く来られるならと思ったのだが、電話に出られなかった。
なのに、、、8時に、、、「こんばんは」という声。
そうなんです。
連絡がついてないのに、この方は間違えて8時に来られたんです。
「Uさん、今日のご予約が何時と思っておられましたか?」
手帳を開くと
「あ!1時間間違えてしまった!しまった!」
「いえ、ちょうどいいんです。
この8時だけキャンセルが出たので、
先ほど連絡させて頂いたんですが、
電話出られなくて、、、。」
「え〜っ?そうなんですか?それはなんとラッキーな!」
と、うまく治療を受けて頂けました。
そうしたら今日、草津で11時のみ空き時間があったのですが、
来週日曜の11時にご予約の(またイニシャルが同じ)Uさんが、
「おはようございます」
と来院。私たちは目を丸めてびっくり。
「予約券お持ちですか?」
「はい、あれ? 来週だった、、、(笑)」
「いえ、ちょうどここだけ予約が空いているんです。」
「え?そうなんですか?てっきり今日だとばかり、、、」
ということで、これもうまく治療を受けてもらえたのでした。
ということで、こちらもめでたしめでたし。
イニシャルがお二人とも「U」というのが、これまたびっくりです。
着床障害ってなんで起こるんだろう?
いろんな理由が推測されるけれど、原因の一つに免疫の過剰反応がある。そう、いわゆるアレルギーってやつ。授精卵は、母由来のnと父由来のnの染色体を合わせて2nとなっている。それはもはや母親の細胞とはまったくの別物。それが透明帯をでて内細胞が子宮内膜に接した時に、子宮が拒絶反応を起こしているかもしれないって事。
Rh+とRh−の両親の間に妊娠が成立すると、1人目は出産するが二人目は必ず流産(という言葉を使っておく)する。それは異なる因子に対する抗体が出来上がり、二人目の時は授精卵を攻撃排除するからと言われている。アカゲザルの英名の頭文字からとったこのRhという因子が、妊娠には免疫が働くという事を私たちに教えてくれた。
さて抗体は全部で数百億種類あるといわれている。その種類を網羅する観察は不可能だ。ならばいずれかの抗体が働けば、授精卵も排除されうる可能性を否定出来なくなる。たかだか23対の染色体がもつ2万ほどの遺伝子が、どうして数百億もの種類の抗体を作り出せるのか、それは非常に複雑なプロセスによる。そのプロセスとは遺伝子の組み換えである。それを発見したマサチューセッツ工科大学の利根川進教授は、その功績でノーベル賞を授与された。私たちの生物の基本概念を覆す大発見であった。
さて、アレルギーには実は自律神経が影響を及ぼす事が知られている。例えばリラックスするとぜんそく発作が起きにくいとか、親に叱られると子供のアトピーが悪化するとか、落語を聞くと関節リウマチに良いとか、そういう例はいくらでもある。そのメカニズムを、大阪大学科学技術振興機構が発表した。しかしこれを読み解くには、大変深い基礎学習が必要で、目下それに取り組んでいる。
さて当院では交感神経の抑制に星状神経節への低出力レーザーを利用している。体外授精での胚移植周期に入る少し前から、来院の度に必ずそれを行っている。今年のお盆に出したデータでは、その手法が着床率を上げる事が示唆されたが、次のお正月のデータ整理でそれを証明したい。
最近の例で言うなら、それを当て始めたら10年以上のアッルギー性鼻炎が収まった、とか、職場での化学薬品アレルギー(くしゃみの連発)が無くなったとか、実はそういう方は胚移植に成功する人が多いのです。まわりくどい言い方ですが、他のアレルギーが沈静化していると妊娠しやすいって事を最近よく感じます。
レーザーは非常に高価な機械です。一台250万円。それを当院では、毎回追加料金無しで受けて頂きます。当てたり当てなかったり、それは薬を飲んだり飲まなかったりするのと同じで、効果が持続しないからです。
一度当てただけでずっと何かの効果が続くなんてことはあり得ません。そんな魔法は存在しません。レーザーを使用し始めて20年。どこよりも豊富な検証から得られた結果です。
その理論と効果を年明けに仙台で発表します。今は免疫学の勉強に必死です。
世の中、ラーメン好きは意外と多いものだ。
治療の帰りに、当院の近辺でラーメン屋さん巡りする人がいたりする。
ラーメンのスープは、私たちの目に見えないところで店主が手間ひまと長い時間をかけて趣向を凝らして仕上げる。細麺、太麺、ちぢれ麺などの麺との相性、具材との相性、その店の立地にあった(客層)味の濃さ、コクなど。日本全国に無数にあるラーメン屋さんそれぞれで必ず微妙に異なっている。
私たちは自分の舌に合ったラーメンに出会うと、まるで何もかも忘れたようにその一杯を堪能する事ができる。
あるラーメン屋さんでの話し。
いかにも、、、いかにもといった風貌の男性客が入って来た。今にも暴れ出しそうなほど粗暴な素振りを見せている。飲んだ帰りだろうか酒臭い。その客は席に着くと、タバコに火を点けおもむろに、
「この店のお勧めをくれ」
と無造作に言ってのけた。
店主は少し怖じ気づきながら
「では少しお待ち下さい」
と言いながら、ラーメンを作り始めた。
他の客もそれなりにいて、出来上がるのが遅い。
いやそれにしても遅すぎる。
その客はじれったくなり、いかにもいらついている様子。
じわりじわりと怒り出している。
「まだか?」
「お待たせしました」
と店主は、その客の前にラーメンを出した。
「おっせ〜な〜」
と半ば怒鳴り口調で言い放った後、ラーメンを食べ始めた。
すると先ほどまでの粗暴な素振りは徐々になりをひそめ、
一心不乱に食べ終わった後、
「む。うまい。このラーメンは俺にぴったりだ。
特にこのスープは絶妙だった。」
と言うや、カウンターにお金を置いて帰って行った。
それから間もなく再びその店を訪れた客は、粗暴な素振りなど無く、
「店長、またあのラーメンを下さい。」
言葉遣いまで丁寧になっていた。
「少々お待ち下さい。」
この日は他の客も少なく、しかもこの客の好みを知っている店長は、速やかにラーメン出した。
この客は、前回にも増して一気に平らげ、おとなしく食べて帰った。
これがラーメンスープ(麺液/免疫)の力だ。