産婦人科疾患について

テンション

こんにちは。湯浅です。


妊活患者様の年齢やこれまでの経緯は様々です。

初診問診ではまずそれらを伺い、不妊につながる原因や当院でできる事をお話していきます。

その上でとても大切な事を改めて考える機会がありました。


先日、初診を受けに来られた患者様のお話。

結婚直後、不妊治療目的以外で婦人科を受診した際、

担当医から、あなたの年齢と卵巣の状態なら、妊娠したいなら体外受精が良いという様な話を急にされたという事。


もちろん、その担当医は理由等も丁寧に説明されたそうですが、
ご本人にとっては自分が妊娠するには体外受精しかないのかもという大きなショックを受けてしまったそうです。

結局、不信感だけ残り、そこの婦人科にはかかりたくないとまで思っておられます。


妊娠、出産という目的は同じでも、
患者様それぞれでそこに向かうテンションは違うものです。

その方に一番最短でベストな方法をお伝えしているつもりでも、知らず知らずにプレッシャーを与えている場合もあるという事、私も思い当たるケースはあります。

このお話を伺いながら、
専門家からの先走った言葉は、受け取る方によって励ましにもプレッシャーにもなってしまうという事、しっかり心に留めておかなければならない、と思いました。

誰のために?

こんにちは。湯浅です。

当院には、2人目のご出産を希望して通院されておられる方も沢山おられます。


治療の間に出産に関する苦労話しや子育てに関するお話等を伺っていると、
皆さん、それぞれの段階でとても大変な思いをされた方ばかり。

そんな思いをしてでも、2人目を希望するのは、
1人目のお子さんに兄弟姉妹をつくってあげたい、と仰る方が殆どです。

その気持ちは1人目を望む方と同じ、切実なものです。


不妊治療では1人目2人目に関わらず、ご自身の為にという以上にご主人の為や最初のお子様の為、さらにご自身やご主人のご両親の為にという声をよく耳にします。

赤ちゃんが欲しいという気持ちの後ろには人それぞれで色々な思いがあるものだとつくづく感じる機会が多いです。

その度に、不妊治療に携わるからにはその思いにも出来る限り寄り添う事ができる様に努力し続けければならない、と改めて気を引き締めます。

希望の象徴

こんにちは。湯浅です。


先週、先々週と、立て続けに妊娠のご報告を頂きました^_^


お一人目は30代前半のタイミング段階の方、お二人目は30代後半のタイミングと人工授精併用の方。

お二人共に、初めての妊娠で、さらに卵質改善という点で効果が出てくると考えられる最短の3、4周期目での妊娠となりました。


『今月もどうせ生理来ると思ってたのに…』と、嬉しい誤算を話されるのも同じです^_^


『皆さん、見事に同じ事を言いながらでも妊娠されてるんですよね』と和やかな空気の後、あえてさせて頂くのが流産のお話。


もちろん、嫌な気持ちになって頂きたい訳ではありません。


タイミングや人工授精の後で生理が来てしまう事と、一度妊娠をした後に流産してしまうのと…
結果は同じ様でも意味が全く異なります。


悪い意味も、実は良い意味もあるのです。


悪い意味は、いうまでもなく、絶望的な喪失感…。
おそらく経験された方にしかわからないものでしょう。

先週の科学博物館で一番印象に残ったのが、しっかり人と分かる程成長している10週あたりの胎児の映像。
心拍確認後に流産を経験される方はどれ位心を痛めておられる事でしょう…

一般的に、「臨床的に診断された」流産率は15%と言われています。
ですが、1980年代に米国の疫学者ウィルコックスによって、「着床後の」流産率は31%であったと報告されています。

詳しくはここでは述べませんが、
要は、流産というのは実に一般的に起こっているというのが事実なのです。

《流産の医学》の著者である科学専門誌の記者であるジョン・コーエンによると、その主な要因として分かっている事は染色体異常であり、
それがおきる原因を調べたところ、因果関係が明らかなのは年齢が高いほど染色体異常率が高いという事実のみ。


ですので、
もし流産されてしまっても少しでも早く次の妊娠に向けて動いて頂く事が、最も赤ちゃんにあえる近道だと思うのです。


又、先ほどのウィルコックスの研究報告によると、流産した女性の95%が2年以内に妊娠しているという事実。

「殆どの女性にとって、初期流産は体のしくみがうまく働いている証拠、希望の象徴である事が多い」と述べておられます。

こちらが良い意味なのです。

もし絶望的な気持ちになってしまった方がおられても、これらの事実を知っておく事で、少しでも早く、次に向けての行動を始めるきっかけになれば…

そういう気持ちでお話させて頂いています。