No.5080の記事

千葉講演要約

千葉県鍼灸師会副会長の永島先生から、3日ほど前に
「9/14の講演の要約を寄稿せよ」と。
『もっと早く言ってよね〜!』ということで講演のスライドを見ながら、
「一体何を話すの、俺?」
って改めて整理してみた。

ちょっと長いけど、、、こんな内容です。


タイトル「不妊を学ぶための超基礎から最新の臨床まで」

 他の動物に比してヒトの寿命は長く、約25年で生殖期間は終わり、そこからまだまだ寿命は続く。他にもヒトの生殖システムはどうしてこのような進化を遂げてしまったのか。人類が七百万年の歴史の中で経験した事が無いライフサイクルの変化が、現代の不妊を生み出してしまった。ヒトの生殖システムをもう一度根本から見つめ直し、患者への的確なアドバイスと妊娠に向かう最善の治療を行う参考にして頂けたら幸いである。
 さて妊娠の正体が分かったのは、実はまだ5、60年前の事で、それまでは子宮の中で何が起こっているのか、全くと言っていいほど何もわかっていなかった。またどういったタイミングで性交渉を行えば妊娠に至るのか、それが詳細にわかったのも実はほんの40年ほど前である。どういった研究でそれが明らかになったのか、それを理解する事が、私たちの治療の具体性を高める上でも極めて重要である。
 東洋医学という2千年以上前に体系化された医学が、ようやく数十年前から解明が進んだ現代生殖医学と、どのような整合性をもつ事が出来るのだろう。私見を交えて論じたい。
 また昨今、晩婚化によって直面する卵子の劣化とはどういうことか。染色体異常や細胞質の劣化とは。また、それを防ぐ手だてはあるのか。私たちができる事を明確にして、対策をも論じたい。
 さらに高度生殖医療を実施する婦人科等では、ホルモン剤の使用は一般的であるが、卵巣や子宮に分布する自律神経も、じつは重要な働きをしている。では自律神経は、それぞれの器官にどういった作用を及ぼしうるのか、また私たちがそれを具体的に行う上で効果的な方法は何か。
 こういった複数のテーマをしっかりと理解する事で、西洋医学的不妊治療の不得意領域を集中的に補完し、不妊患者一人一人に最善を尽くし、良い結果につながる事を願う。
 私たち不妊鍼灸ネットワークでは、こういった議論を活発に行っている。それは理論根拠を備え、且つ再現性が高い治療手技がひとりでも多くの妊娠に結びつくようにとの願いに他ならない。本講では、初心者向けの不妊講義は割愛し、上記の内容を中心にお話をしたいと考えている。