産婦人科疾患症例

不妊症例報告

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昨日は、不妊鍼灸ネットワーク研修会(平成27年度第1回 通算第10回)が名古屋でありました。

そこで当院に通院中の方の症例報告を行いました。

同じ誘発方法で20回採卵した方の、胚盤胞到達率の変化と、染色体異常率の変化が、鍼灸の治療とどのような関連があるかを、細胞生物学的な理論根拠と仮定を基に解説しました。2年間で、両方のデータが明らかに好転しており、不妊に悩む方に的確な治療を行う事の重要性を示唆しました。

また、男性不妊の治療についても、卵質の向上と根源的には似ている部分がある事を、細胞生物学的な観点からお話ししました。

不妊鍼灸ネットワーク研修、京都で開催!

平成25度 第3回研修会(1月12日・京都) 予告

日時:平成26年1月12日(日) 午前10時〜午後5時
場所:ウイングス京都 第5、6会議室
   http://www.wings-kyoto.jp/
  
<内容>

プロローグ
1、なかむら第二針療所における妊娠率発表と手法
2、日本初、超音波による不妊治療での全症例報告(約20以上)と超音波実体験
3、同時期複数個採卵し、先行移植で妊娠できず、続く移植で妊娠率が有意に上昇したパイオネクス貼付の5症例報告
4、私たちが利用するデータが、先達のいかに壮絶な研究努力の結果であるか

本論
1なかむら第二針療所における様々な初診患者への対応
(1)生理不順または無月経患者
(2)タイミング段階の不妊患者
(3)人工授精段階の不妊患者
(4)体外準備段階の不妊患者
(5)体外反復不成功の不妊患者

お昼休憩

(6)胚移植準備の患者
(7)習慣性流産患者の流産予防(以上7つのうちいくつか)


2 長期通院患者にまつわるお話
(1)三瓶鍼療院より
(2)アキュラ鍼灸院より
(3)明生鍼灸院より
(4)質疑応答またはグループディスカッション

終了予定4時半頃

胚盤胞の着床

当院には、様々な愁訴をお持ちの方がお見えになる。
そんな中で、免疫に原因がある場合がある。
アレルギー的なものでは、代表例は花粉症。
自己免疫的なものには、関節リウマチや全頭型脱毛症。
残念ながら同種免疫疾患は滅多にお目にかからない。
(当たり前か、、、)

ところで体外授精や顕微授精で出来た授精卵が、
なかなか着床しない場合がある。

2、3年前のある患者さんは4回の初期流産を経て、
同種免疫異常の診断を受けておられた。
ご主人のリンパ球移植の適応となっていた。
その方が、鍼灸を開始してからの次の妊娠で、
見事安定、ご出産に至った経緯がある。

その時に、鍼灸の免疫における作用が、
着床及びその安定に寄与しうることは漠然と感じていた。

その後も良好な胚盤胞であるにもかかわらず、
何度戻しても着床しない方々がある。
β-hCGが二桁しかいかない場合等である。

どうしたものかと悩んでいた。

そんな時、様々な免疫系疾患の治療で奏功した例を考え、
そして共通の治療コンセプトは何であるかと考えた。

特に、自己免疫型脱毛症における局所免疫療法にヒントを得て、
ある方法を免疫異常による着床障害の治療に応用してみた。

すると、、、、

全く同じ時期に採取した胚盤胞を、
1人は1回の移植不成功を経て、
1人は2回の移植不成功を経て、
その後に移植する際に、上記ヒントから導入した方法で、
見事に続いて2人共の妊娠を見ることが出来た。

これは様々な疾患を扱うからこそ出来た発想である。

不妊症の原因は、まさに様々である。

卵質の低下。
それは卵巣の血流量の低下のみならず、卵胞内の栄養不足、
更に卵子の細胞膜の透過性、などにも思いを致さなくてはならない。

着床障害。
これは内膜が厚くならないという簡単な言葉では言い表せない。
厚くならないのはなぜか?
エストロゲン不足。
エストロゲンレセプター不足。
子宮の血行障害。
どれが原因なのか。

さらに上に書いたように、着床障害には、
極めて複雑な免疫反応が関与している。
その免疫の過剰反応に対して、
鍼灸で効率的に免疫寛容を起こすにはどういう方法が良いのか。

そのひとつの答えが、上記に挙げた
「自己免疫疾患としての全頭型脱毛症に対する局所免疫療法」
の応用である。

鍼灸が免疫寛容を起こすことはNK細胞、マクロファージ、サイトカインなどに対する効果を考えれば、説明がつく。

基礎理論、臨床実践、その応用。

それが一定の成果を上げる場合、
その効果は、曖昧な東洋医学理論ではなく、
極めて再現性の高い科学的思考に裏打ちされている。

3人目、4人目と続いてくれることを願うばかりだ。