日常よしなし事

不妊鍼灸ネットワーク研修会

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不妊鍼灸ネットワーク平成26年度第2回研修会が、9月21日(日)東京都渋谷Hikarieカンファレンスルームで開催されました。
今回は、外部講師を3人お招きして、また会員からの症例発表が2題という、一日で収まりきらないような濃い内容でした。

第1講
演 題 「不妊予防について」
講 師 NPO法人日本不妊予防協会理事長・東邦大学医学部名誉教授
    久保春海先生

久保先生からは、現代の不妊を減らすために、またできるだけ多くの人が子供を授かるために、どういった視点からの医療や施策が必要かを、丁寧にお話し頂きました。中には、非常に専門的なお話も含まれていました。

発表1 多嚢胞性卵巣の症例を通して 
    インスリン抵抗性の考察
    演者 長野県飯田市 くま鍼灸院院長 熊谷賢一

不妊治療を行う上で、極めて細やかな目配りをしておられることが伺える、とても興味深い考察でした。

発表2 当院における不妊治療の成績について
    演者 宮城県仙台市 キュアーズ長町院長 小松範明
震災で大きな被害を受けた仙台市。その中にあり、素晴らしい不妊鍼灸(妊娠率が高い)を提供されている小松先生が、そのひとつひとつの手技において、なぜそうなのかを解説頂きました。当院でも明日から採用できる部分もあり、実りが多い発表でした。

第2講
演 題 「子宮・卵巣の神経性調節について」
講 師 人間総合科学大学 人間科学部 講師 鍵谷方子先生

鍵谷先生からは、自律神経が卵巣や子宮にどれほどの影響を及ぼし、そしてそれはどんな刺激で惹起されるのか、その効率的な方法はいかなるものか、を様々な動物実験を通して、また人の解剖学的観点からも詳細に解説頂きました。この発表は、我々の治療の理論根拠となる極めて意義深いものでした。

第3講
演 題 「臨床研究について」
講 師 福島県立医科大学 会津医療センター漢方医学講座 准教授
     鈴木雅雄先生

若手鍼灸師でありながら、臨床研究において、国内右に出る者はいないと思われるほど(アメリカの呼吸器系の論文賞も受賞されている)の優秀な研究者です。臨床を行う上で、どのような心構えで研究を行うべきか、その方向性をしっかりと教えて下さいました。今後、本会でも学術部主導のもと、そういう方向性をも見いだして行きたいと考えています。

不妊鍼灸ネットワークは、会員全員が極めて高い臨床意識を持ち、不妊鍼灸の有効性の証明と、より良い手法の確立にまさに「命を賭けている」と言っても過言ではない会員の集合体です。このままいけば、おそらく最高の不妊鍼灸のスタンダードを作り上げる事ができるでしょう。

会長としては、会員のレベルの高さに驚き、身が引き締まる思いです。

写真/久保春海先生(前列中央)と本会会員

ショーンとビッツァー

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明日から治療所のどこかで皆様をお出迎えします。笑
星状神経節にレーザーを当てられているビッツァー
風に飛ばされそうになりながら扇風機にしがみついているショーン
白衣のポケットで仲良しこよしな2人

千葉講演要約

千葉県鍼灸師会副会長の永島先生から、3日ほど前に
「9/14の講演の要約を寄稿せよ」と。
『もっと早く言ってよね〜!』ということで講演のスライドを見ながら、
「一体何を話すの、俺?」
って改めて整理してみた。

ちょっと長いけど、、、こんな内容です。


タイトル「不妊を学ぶための超基礎から最新の臨床まで」

 他の動物に比してヒトの寿命は長く、約25年で生殖期間は終わり、そこからまだまだ寿命は続く。他にもヒトの生殖システムはどうしてこのような進化を遂げてしまったのか。人類が七百万年の歴史の中で経験した事が無いライフサイクルの変化が、現代の不妊を生み出してしまった。ヒトの生殖システムをもう一度根本から見つめ直し、患者への的確なアドバイスと妊娠に向かう最善の治療を行う参考にして頂けたら幸いである。
 さて妊娠の正体が分かったのは、実はまだ5、60年前の事で、それまでは子宮の中で何が起こっているのか、全くと言っていいほど何もわかっていなかった。またどういったタイミングで性交渉を行えば妊娠に至るのか、それが詳細にわかったのも実はほんの40年ほど前である。どういった研究でそれが明らかになったのか、それを理解する事が、私たちの治療の具体性を高める上でも極めて重要である。
 東洋医学という2千年以上前に体系化された医学が、ようやく数十年前から解明が進んだ現代生殖医学と、どのような整合性をもつ事が出来るのだろう。私見を交えて論じたい。
 また昨今、晩婚化によって直面する卵子の劣化とはどういうことか。染色体異常や細胞質の劣化とは。また、それを防ぐ手だてはあるのか。私たちができる事を明確にして、対策をも論じたい。
 さらに高度生殖医療を実施する婦人科等では、ホルモン剤の使用は一般的であるが、卵巣や子宮に分布する自律神経も、じつは重要な働きをしている。では自律神経は、それぞれの器官にどういった作用を及ぼしうるのか、また私たちがそれを具体的に行う上で効果的な方法は何か。
 こういった複数のテーマをしっかりと理解する事で、西洋医学的不妊治療の不得意領域を集中的に補完し、不妊患者一人一人に最善を尽くし、良い結果につながる事を願う。
 私たち不妊鍼灸ネットワークでは、こういった議論を活発に行っている。それは理論根拠を備え、且つ再現性が高い治療手技がひとりでも多くの妊娠に結びつくようにとの願いに他ならない。本講では、初心者向けの不妊講義は割愛し、上記の内容を中心にお話をしたいと考えている。