日々の診療の様子をお伝えします
鍼灸とレーザーの併用が、しばしば劇的に効果を見せる多発型、全頭型、汎発型脱毛症についても、やはり制御性T細胞が重要な位置を占めているようだ。
CD4とCD25の検出からTregの量を特定すると、脱毛患者では有意に少ないというのだ。毛根部のimmune privilege が破綻しているという。つまり不妊治療の胚移植の着床率の向上と、脱毛症の改善は、免疫学的に極めて近似的に位置することになる。そうなると星状神経節へのレーザーが、免疫機能にどのように影響をおよぼすのか、やはり根源的に免疫を知らねばなるまい。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18790782/
こういう西洋医学の科目的にはとんでもなく離れた分野に興味もっと臨み、検証できるのは、医師ではなく私達のprivilegeであろう。
これも東京講演の課題としよう。
ところでいつも講演会などで言っているのだが、「不妊専門」の鍼灸院というのは、私の中ではあり得ない。なぜならば、不妊の原因となる様々な問題を解決しようとすると、他の疾患の治療の確立が極めて大きな補助的要素となるからだ。
この免疫についても、自律神経についても、不妊に有効とされる病態改善が可能なら、他の疾患も腕利きの鍼灸師であるはずで、しかも、他の疾患群の改善経験がないのに、不妊という漠然とした指標をそのものさしには出来ないはずだと思う。
以前、不妊鍼灸ネットワークで講演をしていただいた河合蘭氏の著書
「出生前診断」
が、この度、科学ジャーナリスト賞2016を受賞された。
並み居る報道機関のジャーナリストたちにまじって、これを受賞されたのは、氏の熱意と、生殖医療への関心の高さを示していると思います。
本当に言葉を選びながら真実に肉薄していこうとする姿勢が、
審査員達の心を打ったのでしょう。
心より、お祝い申し上げます。
(写真は昨年、その本を出版された後、講演を依頼した時のもの)