日々の診療の様子をお伝えします
当院には、今まで少なく見ても300人以上の耳疾患の来院がある。
そして、今日も「またしても!」
とほぞを噛むような思いをした。
今日の3人の新患さんのうちのお一人。
来院されるまでに1年間、2つの鍼灸院に最低80回通院されていた。
病名は突発性難聴。
以前、兵庫と大阪で難聴の講演をした時に、聴力検査の実演を行い、
「難聴を扱うなら、聴力検査を行って、効果判定をしましょう」
と説明した。
にもかかわらず、特に2軒目の鍼灸院では70回以上通院され、
その間に聴力検査を勧められず、
約9ヶ月治療を行った後の検査では、改善がなかった。
先月その院の治療に不信感を抱き、通院を中断された。
効果がなかった事をとやかく言うのではない。
治療を継続していて効果がないのに、
延々と同じ治療を続けている間に、
難聴はどんどん治りにくくなって行く。
それを分かっていながら、
何故に適時の効果判定をしないのか。
なぜむやみな通院引き延ばしを行うのか。
当初の10回で何の変化も無い場合、
61回目から70回目の10回で効果が出ると思っている?
そう思ってるんなら、「マジ、バカじゃね??」
以前お越しになったご婦人は、
なんと2年間も他院に通院されて後、
当院に転院されてきた。
その方も、まったく改善が無かった。
当院では、聴力、耳鳴り、閉塞感、自声強調などについて、
各々高い改善率を誇っている(いずれも約7割)。
それは以前、愛媛での講演会で一覧を公開した通り。
もし、最初からお越し頂けていたら、
もっと違う結果になったかもしれないと、
本当にほぞを噛むような思いをする。
当院では、まず5回、次に10回の治療で効果判定を行う。
耳鼻科での聴力検査が出来ない場合は、当院でも検査を行う。
殆どの場合、それで変化が見られる。
10回の治療で変化が無い場合は、
その後の改善の可能性は乏しくなる。
全患者さんの改善率、
10回で変化が無かった方が、その後も継続された場合の改善率。
この2つをご説明して、どうすべきかを話し合う事にしている。
なんでもかんでも治るわけではないので、
無駄な治療をだらだらと継続させないための説明と同意は、
来院される方への誠実さだと考えている。
ある院では、その院が忙しいかヒマかによって、
患者さんへの通院頻度を変えるという、超おバカな話を聞いた。
そこは、患者さんに毎日来なさいというのが、通常のようだが、
まったくもって、どうかしている。
そんな必要はまったく無い。
鍼灸院に一度失望落胆された方が、再度他の鍼灸院の門を叩く。
これは本当に切実である。
心して治療を行わないと!
難聴の方へ
「その院のやり方で、最初の10回、遅くとも15回程度で効果が明らかでない場合は、おそらくその院では治せません。さっさと中止、転院しましょう。」
それが難聴治療の特徴です。