個別表示

免疫と着床

着床障害ってなんで起こるんだろう?

いろんな理由が推測されるけれど、原因の一つに免疫の過剰反応がある。そう、いわゆるアレルギーってやつ。授精卵は、母由来のnと父由来のnの染色体を合わせて2nとなっている。それはもはや母親の細胞とはまったくの別物。それが透明帯をでて内細胞が子宮内膜に接した時に、子宮が拒絶反応を起こしているかもしれないって事。

Rh+とRh−の両親の間に妊娠が成立すると、1人目は出産するが二人目は必ず流産(という言葉を使っておく)する。それは異なる因子に対する抗体が出来上がり、二人目の時は授精卵を攻撃排除するからと言われている。アカゲザルの英名の頭文字からとったこのRhという因子が、妊娠には免疫が働くという事を私たちに教えてくれた。

さて抗体は全部で数百億種類あるといわれている。その種類を網羅する観察は不可能だ。ならばいずれかの抗体が働けば、授精卵も排除されうる可能性を否定出来なくなる。たかだか23対の染色体がもつ2万ほどの遺伝子が、どうして数百億もの種類の抗体を作り出せるのか、それは非常に複雑なプロセスによる。そのプロセスとは遺伝子の組み換えである。それを発見したマサチューセッツ工科大学の利根川進教授は、その功績でノーベル賞を授与された。私たちの生物の基本概念を覆す大発見であった。

さて、アレルギーには実は自律神経が影響を及ぼす事が知られている。例えばリラックスするとぜんそく発作が起きにくいとか、親に叱られると子供のアトピーが悪化するとか、落語を聞くと関節リウマチに良いとか、そういう例はいくらでもある。そのメカニズムを、大阪大学科学技術振興機構が発表した。しかしこれを読み解くには、大変深い基礎学習が必要で、目下それに取り組んでいる。

さて当院では交感神経の抑制に星状神経節への低出力レーザーを利用している。体外授精での胚移植周期に入る少し前から、来院の度に必ずそれを行っている。今年のお盆に出したデータでは、その手法が着床率を上げる事が示唆されたが、次のお正月のデータ整理でそれを証明したい。

最近の例で言うなら、それを当て始めたら10年以上のアッルギー性鼻炎が収まった、とか、職場での化学薬品アレルギー(くしゃみの連発)が無くなったとか、実はそういう方は胚移植に成功する人が多いのです。まわりくどい言い方ですが、他のアレルギーが沈静化していると妊娠しやすいって事を最近よく感じます。

レーザーは非常に高価な機械です。一台250万円。それを当院では、毎回追加料金無しで受けて頂きます。当てたり当てなかったり、それは薬を飲んだり飲まなかったりするのと同じで、効果が持続しないからです。

一度当てただけでずっと何かの効果が続くなんてことはあり得ません。そんな魔法は存在しません。レーザーを使用し始めて20年。どこよりも豊富な検証から得られた結果です。

その理論と効果を年明けに仙台で発表します。今は免疫学の勉強に必死です。