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なぜに免疫学か?

前の日記で免疫学が大事だと書きました。

どうしてなのでしょう?

私が解決したい疑問はまさに、

T細胞とNK細胞の数や活性が増大するのに、なぜ免疫寛容が起こるのか?

問題はここです。

例えば、スーパーライザーは星状神経節をブロックするのに適しています。
これを一定の頻度で定期的に行うと、
前述のような免疫系の変化が起こることは、
すでに立証されています。
薬剤で行われてきたこの手技に比して、安全且つ非侵襲なこの方法は、
様々な医療機関で採用されています。

通常、T細胞やNK細胞が増加すると免疫反応は強くなるので、
「非自己」に対する、また自己免疫疾患においては
「自己抗原」に対する攻撃が強化されるはずです。

そこで登場するのは、前にも書いたか「制御性T細胞」です。
この制御性T細胞、大阪大学の坂口志文という先生が発見されたのですが、
この発見と存在の証明は、世界中の学者を敵に回したかの如く、
紆余曲折を経て、世界中に認められたという大変なT細胞なのです、

それまで、サプレッサーT細胞というものが存在するとされていて、
制御性はサプレッサーの一種であると言われていたのですが、
やはり別物だと、坂口氏が証明してみせたのです。
結果、サプレッサーは風前の灯と化しています。

しかも実は「殺し屋NK細胞」にすら制御性があり、マクロファージにも制御性があるようなのです。つまり荒々しいやつほど、しっかりその抑止役が準備されているようなのです。

それはさておいて、
これらの制御性がしっかり働くと免疫寛容、そして過剰な抗原抗体反応が終息に向かいます。

それが星状神経節ブロックという交感神経抑制でなぜ起こるのか、
それを知りたいわけです。

長年の懐疑的疑問が、制御性T細胞の発見で、効果をもたらす確信に変わったのですが、その理論根拠がもう少し詳しく知りたい。

そしてそれを見つけた時、新たなステージに入ると思うのです。

鍼灸は、独自の理論で発展してきました。
しかし、その古典的理論は、免疫、自律神経などの様々な事が全くわかっていなかった頃に構築された理論です。

ならば、それが現代科学的にどの程度の根拠を持ちうるのかを検証したい。
もっと言えば、様々なそういった体のしくみは、ただ単なる事実であり、
これは西洋医学でも東洋医学でも無いと考えます。
問題は、そういう科学的な事実に立ち向かうスタンスの違いだと考えます。

薬剤と外科的手法で向かうのが西予医学。
体制自律神経反射、組織の微細損傷による修復などを、シンプルなツールで行おうとするのが鍼灸医学。

この違いだと思います。
鍼灸の基礎研究から得られた生体に及ぼす効果と、
詳細な学習がしっくり符合した時に、
きっとさらに効果的且つ進化可能な治療に発展すると思うのです。

今から10年以上前に、免疫学の複雑さで一度、学習を挫折した経験があります。今回は、そうはならないように、しっかり腰を据えて取り組みたいと思います。