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日本人の知らない武士道

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新渡戸稲造の武士道はまぎれも無く私の座右の書のひとつであるが、武士道をもっと分かりやすく説いた本に出会う事が出来た。

「日本人の知らない武士道」アレキサンダーベネット著

日本の武士道に心酔し、その研究をライフワークにした著者が、武士道をいろいろな視点から、しかも現代社会の例を挙げて説いている。

新渡戸の武士道は、もともと外国向けに書かれた英文を、和訳したいわゆる逆輸入版であるが、上記の著書は外国の人が書いた日本語の武士道の本である。

武士道は、日本人に大きな影響を与え、日本のモラルの根幹ともいえる精神文化を形成して来たが、しかし日本人だからこそ当たり前のように考えもしなかった問題に、外国人の視点から光を当て、そしてその本質に迫ろうとする良著である。

私は剣道を20年以上やってきて、自分の成長に剣道の存在は欠かす事が出来ないものであった。その生い立ち無くして、今の自分はあり得ないし、私の自我が剣道からいかに大きな影響を受けたか、この書物を読むと本当によく理解できる。

今、私たちが取り組んでいる東洋医学は、東洋で二千年以上の歴史を持ち、東アジア固有の医学から世界の医学への道を辿り始めたばかりであるが、日本人であるからこそ当たり前のように考えてきた事は、外から見ると実は当たり前でもなんでもない。そして日本人固有の、というより日本人共有の思考や常識が崩れかけている今、同じ日本人に対してもまるで外国人に接するような詳細な分析と説明を必要としているだろう。

しかし、それがきちんとなされる事は、私たちの足元を見つめ直し、当然と考えて来た事の真偽を問い直す事につながるだろう。

東洋医学も、武士道よろしく、そういう篩(ふるい)にかけられなければならないと思う。