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主臣佐使と官能基と鍼灸

漢方薬は、その処方を構成する生薬にそれぞれ役割が与えられていて、主薬、臣薬、佐薬、使薬というように、例えば、働きの主になるもの、それを助けるもの、調和したり抑制したりするもの、誘導するもの、といった働きがある。

かたや有機物には、基本骨格に付く官能基によって働きが千変万化する。例えば、カルボニル基とヒドロキシ基のどちらが付くかによって、その性質は全く異なる。-COOHか-OHかによって。しかもエストロゲンに見られるように、同種の官能基が1つか2つか3つかによって、それは働きの強さを変えるのではなく、働き方自体を変えてしまう。これは不思議な現象である。例えば、モル凝固点降下や沸点上昇などでは、イオン価によって、その強さが変わるだけなのに、有機物では異なる反応を起こしてしまう。

これら学習の影響を強く受けた当院の治療は、それらに酷似した手法を採用している。基本配穴があり、その一部(主薬、官能基に相当する)を変化させる事により、配穴全体の意味を変えてしまう。それにより例えば婦人科では、生理痛、生理不順、無月経、卵質向上、内膜養生、卵胞数増加、などに対して効果を得ることができる。

その論理は、古典鍼灸でも現代鍼灸でもない、いわば普遍的な考え方に基づいていると思っている。

それを日曜日の大阪で解説したい。