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学びは楽し

私たちの臨床の醍醐味は、なんと言っても患者さんが喜んで下さる事なのだが、それだけでは無い。

例えば、自分が想定した病態。
それに則した治療。
予想通りの回復。
これらが揃った時、身震いするほど感動する。

今日、当院の育卵治療をしている方の、今までの治療スケジュールと採卵結果を照合した。なんと判を押したように予想通りの結果となった。

さて治療を行う時に、私たちは膨大な知識をバックグラウンドにして、その中から必要なメカニズムをまるでパズルのように組み合わせる。

昨日の研修会での自律神経による卵巣子宮の調節についてもそうだ。むやみやたらに刺激をしたら、却って血流量が減少してしまう場合だってあることが、実験結果によって明らかになっている。

さて当院に転院されてきた患者さんが前に行っていた鍼灸院で、
そこの院長が、
「おれは学会とか、研修会なんて行かない」
と豪語していると聞いた。

『はっ??』

超真剣な沢山の鍼灸師達が必死になって解明している作用、
科学者が必死に研究している基礎研究など、
それらより自分一人の知恵が勝っているとでも言うのか?
世界中の学者と鍼灸師達をバカにしているのか?
いや、どっちが愚かなのか、答えは簡単だ。

勉強はすればするほど奥が深い。
婦人科だってそう。
どんな勉強もそう。
今回も、不妊鍼灸ネットワークの研修会で痛感した。

例えば、パルスの早さのホンのわずかな違いで起こる現象の差。
例えば、刺激する部位が、膝より下か上かで子宮や卵巣に対する影響がかわるという動物実験。
卵巣の血流量を増やすには、下腹部のどの動脈を広げればもっとも効率が良いのか、緻密に計測した結果。
そんな結果が山ほどある。

そんな事、一人で考えたって分かるわけない。
知らないでやっている事がなんと怖い事か。

頼むから勉強しないやつは、患者さんを診ないでくれ。